日本文学の歴史は、普通、上代・中古・中世・近世・近代(現代をふくむ)の 5つの時代に
区分される。上代は、文学の発生した昔から奈良時代末まで、中古は平安時代、中世は鎌
倉時代と室町時めしだされ、なかでも一条天皇の時代(984~1011)には、藤原道隆・道長と
いった大権力者の力を背景に、清少納言・紫式部・赤染衛門などが活躍し、いわゆる女房
文学の時代をきずいた。
「源氏物語」以後は、王朝文学は爛熟(らんじゅく)の時代をむかえる。歌学が盛んになり、
万葉の歌風が復権するなど、中世的和歌の模索がはじまる一方、「源氏物語」の影響を強
くうけた後期物語はしだいに退廃し、歴史物語や説話文学といった新たなジャンルへと文
学の中心がうつっていく。貴族社会をとりあげた文学から武士・庶民をも話題とする文学
への移行は、中世文学への胎動となった。
漢詩文
9世紀半ばまでの「凌雲集(りょううんしゅう)」「文華秀麗集」「経国集」
空海の「性霊集(しょうりょうしゅう)」
菅原道真の「菅家文草」
六国史
「日本書紀」「続日本紀」「日本後紀」「続日本後紀」「日本文徳天皇実録」「日本三代実録」『古今和歌集』
10 世紀初頭には、醍醐天皇の勅命をうけた紀貫之(きのつらゆき)ら 4 人が、最古の勅
撰和歌集「古今和歌集」を編纂する。20 巻、約 1100 首で、四季歌と恋歌を柱とし、漢詩
文の影響を強くうけて「万葉集」とはことなる新たな歌風をきずいた。掛詞(かけことば)・
縁語(えんご)など言葉遊びの技法を駆使し、現実から自立した言葉の世界をつくってい
る。
竹取物語・伊勢物語・源氏物語
伝奇物語:「竹取物語」「宇津保物語」「落窪物語」
歌物語:和歌への説話的な関心から生じた口伝えの「歌語り」を基盤に、和歌を中心にす
えた小話をあつめた歌物語が生まれた。
「伊勢物語」「大和物語」「中物語」平
「土佐日記」(紀貫之)
「蜻蛉日記(かげろうにっき)」
「源氏物語」
「枕草子」(清少納言)
「和泉式部日記(いずみしきぶにっき)
この 10 世紀末から 11 世紀初頭の一条帝の時代は、女流文学の最盛期であった。
平安後期になると、 漢文体の正史への関心がうすれ、仮名で書かれた歴史物語が登場する。
「栄花(えいが)物語」「大鏡」「将門紀」「陸奥話記(むつわき)」軍記物語
12 世紀初めには、日本・中国・天竺(てんじく)の説話を集大成した「今昔物語集」が成立
した。「今昔物語集」が傑出している点は、世俗の一般民衆たちへと関心を広げていると
ころにあり、鎌倉説話文学隆盛の先駆となった。
和歌の領域でも中世への胎動ははじまる。
歌論
中世―多様なジャンルの展開
1185 年(文治元)、平家が壇ノ浦の戦(だんのうらのたたかい)でほろび、 92 年、源頼朝
が鎌倉に幕府を開いた。11
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